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幻の二之丸御殿/徳川美術館

 名古屋城にはかつて二之丸御殿がありました。江戸時代初期の1620年からは、本丸御殿は将軍を迎えるための御成御殿になったため、尾張の殿様は二之丸御殿 へ移り、そこで政務を行いました。

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<現在の二之丸:中央の建物は二の丸茶亭>

 明治維新になり、名古屋城は新政府軍に明け渡されました。天守閣や本丸御殿は保存されましたが、二之丸御殿は取り壊され、1873年陸軍の兵舎が建設されました。現在の二之丸エリアは庭園の一部が残されていて、二の丸茶亭というカフェが建てられていますが、江戸時代にあった二之丸御殿の面影は全く残っていません。

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<現在の名古屋城二之丸>

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<江戸時代の名古屋城>

 そんな幻の二之丸御殿の一部が徳川美術館で再現されています。下記写真は名古屋城二之丸の平面図で、赤枠で囲った4つの部屋が、徳川美術館で再現されています。

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<名古屋城二之丸平面図>

 まず徳川美術館で再現されている部屋が、二之丸御殿で大名の公式行事に用いられた「広間上段の間」と、大名のくつろぎの場であった「鎖の間」です。書院造りの作りになっている広間には、床・違い棚・付書院と言った空間が設けられています。名古屋城の本丸御殿にも同様の作りの部屋がありますが、徳川美術館は花生や掛け軸、香炉、文房具、茶道具など小物も飾られていて、当時の部屋の様子がよりリアルに再現されていています。

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<広間「上段の間」>

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<鎖の間>

 二之丸御殿には本丸御殿にはないものが三つあります。それが、庭園・茶室・能舞台です。庭園は現在名古屋城に一部残っていて、江戸時代の資料を基に復元プロジェクトが進められています。徳川美術館で再現されているのは茶室と能舞台です。

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<猿面茶室>

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<能舞台>

 茶の湯と能は武士の教養・たしなみとして大変重視されました。能は武家の式楽(公式の場での音楽)で、慶事や公式な行事の際には必ず能が演じられました。二之丸には二つも能舞台がありましたが、徳川美術館で再現されているのは、広間前にあった「表能舞台」です。

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by haru_tsuji | 2025-08-25 06:00 | 中区・中村区・北区・東区・西区 | Comments(0)