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濃尾平野にあった巨大湖(東海湖)の生き証人

 世界中でほぼ東海三県にしか生息していない天然記念物で絶滅危惧種の淡水魚がいることをご存じでしょうか?ネコギギとウシモツゴという魚で、この地方では東山動植物園の世界のメダカ館で実物を見ることができます。

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<世界のメダカ館(東山動植物園)>

 ネコギギはナマズの仲間で伊勢湾と三河湾にそそぐ河川にしか生息していません。ウシモツゴはコイの仲間で、こちらも東海三県の河川やため池にしか生息しておらず、絶滅危惧種の中でも最も危機的なレベル(ⅠA類)となっています。その他トウカイヨシノボリと呼ばれるハゼの仲間(準絶滅危惧種)やトウカイコガタスジシマドジョウなども、この地方固有の淡水魚として知られています。

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<ネコギギ>


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<ウシモツゴ>


 これらの魚は何故この地方にだけに生息しているのかというと、かつて伊勢湾北部から濃尾平野に広がっていた東海湖と呼ばれる巨大湖に関係していると言われています。東海湖は650万年前に存在し、300万年前に最大の面積になったとされており、その面積は琵琶湖の6倍もあったと言われています。広大で独立性の高いこの湖の環境が長期に続き、これに適応して独自の進化を遂げた魚が、先に述べた固有種であると考えられています。東海湖は地殻変動により消失してしまいましたが、固有の魚たちは、この地方の河川やため池などで、現在まで生き続けており、東海湖の生き証人ともいえるのです。また淡水魚だけでなく、シデコブシやシラタマホシクサなど東海地方固有の湿地などに自生する希少植物も東海湖の周辺で独自の進化を遂げたと考えられています。(※1)


 東海湖はこの地方の地場産業とも深い関係をもっています。瀬戸焼や常滑焼、更にこの源流とも言われる猿投窯(名古屋市東部から猿投山南西部に広がる古窯群)など、この地域は古代から焼き物がとても盛んでした。これは偶然ではなく、瀬戸から常滑あたりまで続く丘陵地帯が、かつては東海湖の東から東南にかけての湖岸だったからです。ここに川から粘土質の土が流れ込み、長い時間をかけて堆積していきました。東海湖の東半分は地殻変動により隆起し、現在の東部丘陵地帯になりました。こうして私たち人間が活動する時代になると、堆積した土が豊かな陶磁器の原料となったのです。


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<猿投窯:名古屋市博物館>


※1:参考文献:愛知県の豊かな生物多様性 ー特に脊柱動物から見てー 愛知学泉大学コミュニティ政策学部 矢部 隆



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by haru_tsuji | 2022-10-05 06:00 | 愛知県内(その他) | Comments(0)