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世界最大級の通信施設/依佐美送信所

 今回紹介するのは刈谷市にあった「依佐美(よさみ)送信所」の記念館です。世界最大級の通信施設で、平成20年には経済産業省から近代化産業遺産に認定されました。依佐美送信所が作られる以前の日本は、海外との通信を行う場合、欧米の電信会社の所有する海底電線に頼らざるを得ない状況で、自前の通信施設の整備が大きな課題でした。大正14年議会で「日本無線電信会社法」が制定され、無線により世界の主要都市と通信を行う施設を建設することが国策として決定されました。依佐美送信所はこの政策により建設された送信施設で、昭和4年に開局しました。なおこの施設は送信専用で受信施設は四日市郊外に作られました。

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<依佐美送信所記念館と再現された1/10サイズの鉄塔>

 依佐美送信所では、「長波」という電波が使われました。長波は非常に遠くまで伝わる電波で、当時電信用として使われていましたが、とてつもなく大規模なアンテナと施設が必要でした。どれくらい大規模かというと、依佐美送信所の場合、長さ1.76㎞のアンテナ線を10m間隔で16本頭上250mの高さに平行に敷設し、それを高さ250mの鉄塔4基(間隔480m)×2列(間隔500m)で支えるという壮大な物でした。

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<依佐美送信所の長波アンテナ:上の図は水平方向に見た図、下の図は上空から見た平面図です。>

 鉄塔と送信所の建設に要した資材の量は7万トンで、資材を運ぶために三河鉄道小垣江駅から専用の鉄道線まで敷設されました。昭和4年4月盛大に開所式が行われ、日本とヨーロッパ間の直接通信が開始されました。開局の頃に、短波通信技術が発展し、長波に比べ設備規模も小さくコストも安価に運用できるため、依佐美送信所でも短波の設備やアンテナも増設されました。

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<当時の様子を再現したジオラマ>

 第二次世界大戦中この施設は日本海軍が運用していました。長波は海中でも届く性質があるため、潜水艦との交信に使われました。戦後は在日米海軍に接収され、昭和27年から運用が再開されました。平成6年東西冷戦の終結を機に日本に全面返還され、平成7年からアンテナ線が撤去され、翌年鉄塔も解体されました。社宅の跡地が「フローラルガーデンよさみ」として公園整備され、平成19年公園の一角に「依佐美送信所記念館」が建てられました。記念館の横には、送信所の鉄塔(高さ25m実物の1/10)が再現されています。

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<フローラルガーデンよさみから見た依佐美送信所記念館>

 依佐美送信所記念館にはかつての送信所にあった主要設備を保存する施設で、産業遺産の送信機器が数多く展示されていて、送信所の歴史を振り返ることができます。

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<送信所で使われていた機器類が展示されています。>

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<依佐美送信所の開局式(中央)などの写真>

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<経済産業省に認定された近代産業遺構の認定証>

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<電気・情報分野の国際的学術団体 IEEEも歴史的偉業として「マイルストーン」に認定しています。>


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by haru_tsuji | 2022-04-25 06:00 | 愛知県内(その他) | Comments(0)