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名古屋港の産業遺産 船見閘門

 名古屋は木材の集積地としての歴史は古く、名古屋城築城時には、木曽の桧など築城資材が堀川などの水路により盛んに運ばれました。このころ作られたのが以前このブログでも紹介した「白鳥貯木場」です。貯木場は木材を保管する場所を言いますが、虫害や乾燥防止のため、水に木材を浮かべて保管する方法が一般的でした。明治以降も名古屋の木材産業は発展し、新たな貯木場も周辺に数多く建設されました。

 昭和になると合板産業が発展し輸入木材が急増して名古屋港の港内にも貯木場が作られるようになりました。昭和2年名古屋港東の船見町8号地に当時日本一の貯木場が整備されることになり、貯木場の西側と北側に名古屋港とつながる水路が作られ、それぞれの水路に開閉式の閘門(こうもん)が建設されました。閘門は潮の満ち引きにより、貯蔵している木材が海に流出することを防止するための水門で、モータでワイアーを巻き取ることによりゲートが開閉する仕組みでした。

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<船見閘門>

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<昭和初期の名古屋:8号地貯木場と船見閘門>

 順調に発展してきた名古屋の木材産業でしたが、昭和34年伊勢湾台風が東海地方を襲い、8号地貯木場の堤防を破壊。貯木場の大量の木材が市街地に流出して未曾有の大災害をもたらしました。これをきっかけに、貯木場は名古屋港西部の西部木材港に移転し、8号地貯木場は埋め立てられました。8号地貯木場跡地は現在船見緑地グラウンドや名港フラワーブリッジ(生花市場)などになっています。閘門も2基の内、西側の1基だけが残されました。この閘門は現在名古屋市の認定地域建造物資産に指定されていて、名古屋港発展の歴史を伝える産業遺産のひとつになっています。

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<伊勢湾台風で木材が流出した時の様子>

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<現在の船見閘門とその周辺>



Commented at 2023-01-02 13:48 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 名古屋港 at 2023-01-02 13:48 x
名古屋港
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by haru_tsuji | 2021-12-25 06:00 | 港区・中川区 | Comments(2)